ITエンジニアがフリーランスで経費にできる項目とは?計上できる経費は少ない?

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※本記事には、プロモーションを含みます

ITエンジニアがフリーランスで経費にできる項目は、以下の19点です。

  • 水道光熱費
  • 地代家賃
  • 消耗品費
  • 旅費交通費
  • 事務用品費
  • 通信費
  • 外注費
  • 新聞図書費
  • 租税公課
  • 広告宣伝費
  • 接待交際費
  • 減価償却費
  • 冠婚葬祭費
  • 修繕費
  • 会議費
  • 車両費
  • 雑費
  • 従業員を雇った場合の給料賃金
  • 従業員を雇った場合の福利厚生費

「経費」とは事業を行う上で必要な費用のことを指します。
経費を適切に計上することで、税負担を軽減できる点が大きなメリットです。

近年、在宅勤務の増加や副業解禁の流れを受け、フリーランスエンジニアの経費計上に関する関心が国内でも高まっています。

この記事では、フリーランスエンジニアが経費に計上できる項目や注意点をご紹介します。

もくじ

そもそも「経費」とは
フリーランスのITエンジニアが経費を計上する意義
ITエンジニアがフリーランスで経費にできる主な項目
フリーランスのITエンジニアが経費にできないもの
経費の計算方法
フリーランスのITエンジニアが経費計上する際の注意点
ITエンジニアがフリーランスで経費にできる項目に関するQ&A
まとめ

そもそも「経費」とは

フリーランスのITエンジニアとして活動を始めると、「経費」に関しても考えなくてはならなくなります。
会社員時代は経理部門が処理してくれていたため、深く意識する必要がなかったかもしれませんが、個人事業主となれば、「経費」の管理が事業運営において重要になります。

経費とは、簡単にいえば「事業を行うために必要だった費用」を指します。
フリーランスエンジニアの場合、システム開発や運用保守、コンサルティングといった業務を遂行し、収益(売上)を得るために直接的、あるいは間接的に使用したお金のことです。

たとえば、クライアントとの打ち合わせに向かうための交通費、開発に必要な専門書籍の購入費、業務で使用するパソコンの費用、プロジェクト管理に使用するSaaSの月額利用料などがこれに該当します。

フリーランスのITエンジニアが経費を計上する意義

ITエンジニアがフリーランスとして独立する際には、技術力や案件獲得、単価交渉に意識が向きがちですが、経費計上も同様に重要な業務の一つです。

では、なぜ経費を正しく計上する必要があるのでしょうか。
その最大の意義は「節税」にあります。

各種税金は「所得金額」に対して課税されます。
フリーランスエンジニアの年間売上が1,000万円だったとしても、経費が300万円かかっていれば、所得金額は700万円として計算されます(実際にはここからさらに各種控除が差し引かれます)。

もし、経費を全く計上しなければ、1,000万円全額が所得とみなされ、納める税額が大きく跳ね上がってしまいます。

適切に経費を計上することは、事業のために使った費用を売上から正しく差し引く「権利」であり、手元に残る資金(キャッシュフロー)を最大化するために不可欠な行為といえます。

特にITエンジニアは、高額な開発用PCやマルチディスプレイ環境、テスト用の実機(スマートフォンなど)、有料の開発ツールやソフトウェアライセンス、クラウドサービスの利用料など、他業種に比べて初期投資や継続的な機材・環境投資が必要になる場面が少なくありません。

これらを適切に経費として計上しなければ、税負担だけが重くなり、事業の継続や成長に必要な再投資(新しい技術の学習や高スペックな機材への刷新)が困難になる恐れもあります。

また、フリーランスエンジニアの売上(報酬)は、クライアント企業から源泉徴収税(所得税の前払い)が10.21%(100万円以下の場合)差し引かれた上で振り込まれるケースが一般的です。
確定申告で年間の正確な所得と税額を計算し、経費をしっかり計上した結果、源泉徴収で「払い過ぎていた」税金が還付金として戻ってくることも多々あります。

経費を正確に把握し計上することは、単なる事務作業ではなく、自身の事業を守り、健全な資金繰りを実現するための重要な経営活動なのです。

ITエンジニアがフリーランスで経費にできる主な項目

では、フリーランスのITエンジニアが経費として計上できるのは、どのような費用なのでしょうか?

ここでは、主な項目について、具体例を挙げながら解説します。

水道光熱費

水道光熱費とは、電気代、ガス代、水道代のことです。

フリーランスエンジニアの多くは、自宅を事務所(仕事場)として利用しているケースが多いでしょう。

その場合、自宅で発生した水道光熱費の一部を経費として計上できます。

フリーランスエンジニアの多くは、自宅を事務所(仕事場)として利用しているケースが多いでしょう。
その場合、自宅で発生した水道光熱費の一部を経費として計上できます。

ただし、全額を経費にすることはできません。
なぜなら、自宅は生活(プライベート)の場でもあるからです。
そこで必要になるのが「家事按分(かじあんぶん)」という考え方です。

家事按分とは、私的な利用と事業用の利用が混在している支出について、事業で使用した割合を合理的な基準で算出し、その部分だけを経費として計上する手続きを指します。

水道光熱費における合理的な基準としては、以下のようなものが考えられます。

電気代

使用時間で按分

1日のうち業務を行っている時間(例:8時間)の割合で計算します。

例)月2万円 × (8時間 / 24時間) = 約6,666円

床面積で按分

自宅全体の床面積のうち、仕事部屋が占める割合で計算します。

例)月2万円 × (仕事部屋10平米 / 全体60平米) = 約3,333円

より厳密には、事業用コンセントの使用量だけを個別に計測する方法もありますが、一般的ではありません。

ガス代・水道代

エンジニア業務でガスや水道を直接的に多く使用するケースは稀です。
そのため、経費として計上できる割合は電気代に比べて低くなるか、あるいは計上しないという判断も考えられます。

計上する場合は、床面積や使用時間で按分しますが、税務署に説明できる合理的な理由付け(例:来客時のお茶出しなど)が必要です。

どの基準を採用するにせよ、重要なのは「なぜその割合で計算したのか」を明確に説明できることです。

なお、一度決めた計算ルールは、事業環境が大きく変わらない限り、継続して適用するのが一般的です。

地代家賃

地代家賃も、自宅兼事務所の場合、家事按分によって経費計上が可能です。

経費の中でも金額が大きくなりやすいため、節税効果も高い項目です

賃貸物件の場合

家賃、共益費、管理費、更新料などが対象です。

按分基準としては「床面積」が最も合理的で一般的です。

計算例)
家賃15万円、共益費1万円のマンション(全体80平米)のうち、15平米を仕事専用部屋としている場合。

(15万円 + 1万円) × (15平米 / 80平米) = 3万円

この場合、月々3万円を「地代家賃」として経費計上できます。

持ち家(戸建て・分譲マンション)の場合

家賃の支払いはありませんが、以下の項目が按分の対象となります。


  • 建物の減価償却費…建物の購入代金を、法的に定められた耐用年数(例:木造住宅22年、鉄筋コンクリート造47年など)で分割して経費計上します。
  • (詳細は後述の「減価償却費」にて解説します)
  • 固定資産税・都市計画税…毎年納める税金のうち、事業使用割合分。
  • 住宅ローンの利息…毎月の返済額のうち「利息」部分のみが対象です。「元本」部分は経費になりません。
  • 火災保険料・地震保険料…事業使用割合分。
注意点

持ち家で「住宅ローン控除(減税)」を受けている場合は、注意が必要です。

事業使用割合が50%を超えると、住宅ローン控除の適用が受けられなくなる可能性があります。

一般的に、自宅兼事務所の事業使用割合は30~40%程度に設定するケースが多いようです。

消耗品費

消耗品費は、エンジニア業務において非常に多岐にわたる項目です。

基準として「使用可能期間が1年未満」または「取得価額(購入金額)が10万円未満」の物品を購入した際の費用を指します。

消耗品費の具体例

  • マウス、キーボード、USBメモリ、外付けHDD/SSD
  • 各種ケーブル類(HDMI、USB-C、LANケーブルなど)
  • プリンターのインクカートリッジ、コピー用紙
  • CD-R、DVD-Rなどの記録メディア
  • デスク、オフィスチェア(10万円未満のもの)
  • モニター、ディスプレイ(10万円未満のもの)
  • 開発用PC、タブレット、スマートフォン(10万円未満のもの)
  • 書籍(技術書や専門書など。「新聞図書費」で処理する場合もあります)

経験豊富なエンジニアであれば、高スペックなPCや周辺機器を求めることが多いでしょう。

その際、購入金額が「10万円」を超えるかどうかが大きな分岐点となります。
10万円以上のものを購入した場合は、「消耗品費」として一括で経費計上するのではなく、「減価償却費」として数年間に分けて経費計上する必要があります(詳しくは「減価償却費」で詳述します)。

ただし、青色申告を行っているフリーランス(個人事業主)には特例があります。
「少額減価償却資産の特例」を利用すれば、30万円未満の物品であれば、購入した年に全額を経費として計上することが可能です。
これは節税効果が高いため、多くのフリーランスが活用している制度です。

旅費交通費

旅費交通費とは、業務に関連する移動や宿泊にかかった費用です。

旅費交通費とは、業務に関連する移動や宿泊にかかった費用です。

  • クライアント先への訪問(打ち合わせ、オンサイト作業)にかかる電車代、バス代、タクシー代
  • 遠方への出張にかかる新幹線代、飛行機代
  • 出張先での宿泊費(ビジネスホテル代など)
  • 業務に必要なセミナーや勉強会への参加にかかる交通費
  • 月極駐車場の料金(業務で車を使用する場合。車両費とも関連)
  • コインパーキング代(打ち合わせ時など)

SuicaやPASMOなどの交通系ICカードを利用する場合、私的な利用と業務利用が混在しがちです。
業務で利用した分だけを明確に区別するため、利用履歴を定期的に印字・出力しておくか、事業専用のICカードを一枚用意しておくと、管理が楽になります。

また、電車代やバス代など、領収書が発行されにくい少額の交通費については、「出金伝票」を作成し、日付、利用区間、金額、目的(例:「A社にて打ち合わせのため」)を記録しておくことで、経費としての証拠となります。

事務用品費

事務用品費は、その名の通り、事務作業に必要な文房具などを購入した費用のことです。

前述の「消耗品費」と似ていますが、より文房具的な側面の強いものをこちらで仕分けすることがあります。

事務用品費の具体例

  • ボールペン、シャープペンシル、消しゴム、ノート
  • ファイル、バインダー、クリアファイル
  • 付箋(ポストイットなど)
  • 領収書や請求書を印刷するためのコピー用紙(消耗品費とも言える)
  • 請求書や契約書を入れる封筒、切手(切手は「通信費」とも言える)
  • クリップ、ホッチキス、のり、ハサミなど

これらの項目は「消耗品費」にまとめて計上しても税務上は問題ありません。

しかし、帳簿上で「何にどれくらい費用を使っているか」を後から分析しやすくするために、勘定科目を分けて管理するのがおすすめです。

通信費

通信費は、現代のITエンジニアにとって不可欠な経費項目でしょう。
業務で使用するインターネット回線や電話などが該当します。

通信費の具体例

  • 自宅兼事務所のインターネットプロバイダ料金、回線使用料
  • 業務で使用するスマートフォンの月額料金、通話料
  • クラウドサービス(AWS, GCP, Azureなど)の利用料
  • 開発や検証で使用するレンタルサーバー代、ドメイン(独自ドメイン)の取得・維持費
  • 業務連絡に使用するチャットツールやWeb会議システム(Zoom, Slackなど)の有料プラン料金
  • 郵便代、切手代(事務用品費とも言える)、宅配便の送料

水道光熱費や地代家賃と同様に、自宅のインターネット回線やスマートフォンを私用と共用している場合は「家事按分」が必要です。

通信費の按分基準の例

  • インターネット回線…業務時間(例:週5日、1日8時間)の割合で計算する。または、床面積の割合(仕事部屋の割合)で計算することも考えられます。
  • スマートフォン…通話履歴やデータ使用量から合理的な業務割合を算出します。もし算出が難しければ、「週のうち業務で使用する日数(例:5/7)」などで按分することも一案です。

実務上、これらを厳密に分けるのは手間がかかります。

そのため、可能であれば業務専用のスマートフォン回線やインターネット回線を契約するのが、最も明瞭で経費管理もしやすくなる方法です。

外注費

フリーランスエンジニアが、自身の請け負った業務の一部を、ほかのフリーランスエンジニアや外部の制作会社に依頼(再委託)した場合、その支払いを「外注費」または「外注工賃」として経費計上します。

外注費の具体例

  • 自身はサーバーサイド開発を担当し、フロントエンド開発を別のエンジニアに依頼した。
  • システム開発は自身で行い、デザイン部分だけをWebデザイナーに依頼した。
  • 大規模プロジェクトで人手が足りず、一時的にデータ入力作業を外部に依頼した。
  • 確定申告の作業を税理士に依頼した(これは「支払報酬」や「雑費」として処理することも多いです)。

経験豊富なエンジニアが、より上流の案件や大規模な案件を請け負うようになると、外注費が発生する機会も増加する可能性があります。

注意点

個人(フリーランス)に対して外注費を支払う際、業務内容がデザインや原稿執筆(プログラミングは通常対象外)などに該当する場合、支払い側が源泉徴収義務者となり、報酬から所得税(10.21%)を天引きして預かり、代わりに国に納付する義務が発生することがあります。

外注する際は、この源泉徴収の要否についての確認が必要です。

新聞図書費

新聞図書費とは、情報収集や技術のキャッチアップのために使用した費用です。

IT業界は技術の進歩が非常に速いため、エンジニアにとって、この費用は重要なものです。

新聞図書費の具体例

  • プログラミング言語やフレームワーク、インフラ技術に関する専門書籍、技術書の購入費
  • 業界動向を知るためのIT系専門雑誌、ビジネス雑誌の購読料
  • 日経新聞などの一般紙(事業に必要な情報を得るためであれば)の購読料
  • 有料の技術情報サイトやWebメディアの購読料
  • 技術系イベント、セミナー、勉強会の参加費(これは「研修費」や「雑費」として処理する場合もあります)

ITエンジニアにとって、新しい技術の習得や知識のアップデートは自身の市場価値を維持・向上させるために不可欠です。

これらの学習にかかる費用は、事業に必要な支出として認められます。

ただし、業務に全く関係のない趣味の雑誌や小説などは経費にできません。

租税公課

租税公課(そぜいこうか)とは、事業に関連して納める税金や、公的な手数料のことです。

租税公課の具体例

  • 個人事業税…所得が290万円を超えた場合に納付する税金(ITエンジニア(デザイン業、文筆業などとみなされる場合)は対象業種となることが多い)。
  • 消費税…課税売上高が1,000万円を超えた場合に納付する消費税。
  • 固定資産税…持ち家を事務所として使用している場合の、事業使用割合分。
  • 自動車税、重量税…事業で車を使用している場合の、事業使用割合分。
  • 収入印紙代(契約書などに貼付するもの)
  • 住民票や印鑑証明書の発行手数料(事業用の契約などで必要な場合)

注意点

フリーランス(個人事業主)が納める税金のうち、「所得税」と「住民税」は経費になりません。

これらは事業の「所得」が確定した後に、個人として納める税金という位置づけのためです。

広告宣伝費

フリーランスエンジニアが新規クライアントを獲得したり、自身のブランディングを高めたりするために使用した費用です。

広告宣伝費の具体例

  • 名刺の作成費用
  • 自身のスキルや実績を公開するポートフォリオサイト(Webサイト)の作成費用、サーバー代、ドメイン代(これらは「通信費」ともいえる)
  • クライアントや見込み客に送る年賀状、暑中見舞いなどのハガキ代、印刷代
  • フリーランスエージェントへの登録料(もし発生する場合)
  • 自身のスキルを紹介するパンフレットやチラシの作成費用

安定して案件を獲得し続けるために、自身の存在や能力を外部にアピールする活動は事業に不可欠であり、その費用は広告宣伝費として計上できます。

接待交際費

接待交際費は、クライアントや取引先など、事業に関連する相手との関係性を円滑にするために支出した費用です。

接待交際費の具体例

  • クライアントとの打ち合わせを兼ねた飲食代(ランチ、ディナー)
  • 情報交換のための同業者(他のフリーランスエンジニア)との飲食代
  • クライアントや取引先へのお中元、お歳暮、手土産の購入費
  • 取引先の忘年会や新年会への参加費

注意点

接待交際費は、私的な飲食との境界が曖昧になりやすく、税務署のチェックが厳しくなりがちな項目です。

経費として認められるためには、「事業関連性」を明確に示す必要があります。

領収書やレシートの裏面に、「いつ」「誰と(例:A株式会社 B様)」「何のために(例:新規案件の打ち合わせ)」といった情報を必ずメモしておく習慣をつけましょう。

友人との飲み会や、家族との食事代は、当然ながら経費にはできません。

減価償却費

購入金額が「10万円以上」の物品(固定資産と呼びます)は、購入した年に全額を経費にするのではなく、法的に定められた「耐用年数」にわたって分割し、毎年少しずつ経費として計上していきます。

この手続きを「減価償却」と呼びます。

減価償却費の対象となる主な資産(10万円以上)

  • パソコン(耐用年数:4年)
  • サーバー(耐用年数:5年)
  • モニター、プリンターなど(耐用年数:5年)
  • デスク、オフィスチェアなど(耐用年数:8年や15年など材質による)
  • 自動車(耐用年数:新車普通車で6年、中古車は別途計算)
  • 持ち家(建物部分。耐用年数は構造による)

減価償却費の計算例

40万円の業務用ノートパソコン(耐用年数4年)を購入した場合

(定額法の場合)40万円 ÷ 4年 = 10万円

毎年10万円ずつ、4年間にわたって「減価償却費」として経費計上します。

特例(青色申告者の場合)
  • 一括償却資産…10万円以上20万円未満の資産は、耐用年数に関わらず「3年間」で均等に分割して経費計上できます。
  • 少額減価償却資産の特例…10万円以上30万円未満の資産は、購入したその年に「全額」を経費として計上できます。(年間合計300万円まで)

経験豊富なエンジニアが高スペックなPC(例:25万円)や大型モニター(例:15万円)を購入する場合、この「少額減価償却資産の特例」を活用すれば、その年の所得を大幅に圧縮でき、節税効果が非常に高くなります。

この特例を活用するためにも、青色申告の承認を受けておくことを強くおすすめします。

冠婚葬祭費

冠婚葬祭費は、取引先の結婚式や葬儀などに際して支出した費用です。

冠婚葬祭費の具体例

  • クライアント(企業の担当者や経営者)の結婚式に包むご祝儀
  • 取引先の葬儀に際しての香典
  • 取引先の開店祝いや周年祝いに送る花代

これも「接待交際費」の一種として処理されることが多いですが、区別して管理することも可能です。
重要なのは、あくまでも「事業関連」であることです。
友人や親族へのご祝儀や香典は経費にはなりません。

領収書が出ない(出にくい)支出の代表例ですので、結婚式の招待状や葬儀の案内状(会葬礼状)などを保管し、いつ、誰に対して、いくら支出したかを明確に記録しておく必要があります。

修繕費

修繕費とは、事業で使用している固定資産(PC、デスク、車、建物など)が故障したり、破損したりした際に、それを修理するためにかかった費用です。

修繕費の具体例

  • 業務で使用しているPCの修理代(例:ディスプレイ割れの修理)
  • プリンターの修理代

事務所として使用している自宅(賃貸)の壁紙や床を、業務上の不注意で傷つけてしまった場合の原状回復費用(事業使用割合分)

事業用車両の修理代、車検代(車検代には税金なども含まれるため、内訳を分けて計上する場合もあります)

注意点

修理の内容が、単なる「原状回復」や「維持管理」の範囲を超え、その資産の価値を高めたり、使用可能期間を大幅に延長したりするような「改良」(例:PCの根本的なアップグレード)とみなされた場合、「修繕費」として一括経費計上するのではなく、「資本的支出」として減価償却の対象となる場合があります。

会議費

会議費は、業務に関する打ち合わせや会議のために支出した費用です。

会議費の具体例

  • クライアントとの打ち合わせで利用したカフェ、喫茶店の飲食代
  • コワーキングスペースやレンタル会議室の利用料
  • 打ち合わせ時に用意したお茶代、お菓子代

「接待交際費」と非常に似ていますが、一般的に「会議費」は、会議や打ち合わせに付随する比較的少額な飲食(アルコールを含まないランチやカフェなど)を指すことが多いです。
夜の会食やアルコールを伴うものは「接待交際費」として処理するのが通例です。

フリーランスエンジニアの場合、リモートでの会議(Zoomなど)が主流かもしれませんが、対面での打ち合わせが発生した場合、その場所代や飲食代は会議費として計上できます。

車両費

業務で自家用車を使用する場合、または事業専用の車を所有している場合、その維持・管理にかかる費用を「車両費」として経費計上できます。

車両費の具体例

  • ガソリン代(「旅費交通費」として処理することも可)
  • 高速道路の利用料金(「旅費交通費」として処理することも可)
  • 自動車保険料(任意保険)
  • 車検費用(「修繕費」とも言える)
  • 自動車税、重量税(「租税公課」とも言える)
  • タイヤ交換代、オイル交換代などのメンテナンス費用
  • 洗車代(業務で客先訪問する際に必要な場合)

自家用車を私用と共用している場合は、もちろん「家事按分」が必要です。按分の基準としては、「走行距離」が最も合理的です。

たとえば、年間の総走行距離が10,000kmで、そのうちクライアント先への訪問や出張などで使用した距離が3,000kmであれば、事業使用割合は30%となります。

この場合、上記の車両関連費用の合計額の30%を経費として計上します。

日頃から走行距離メーターや訪問記録をつけておき、根拠を明確にしておくことが重要です。

雑費

雑費は、上記のどの勘定科目にも当てはまらない、事業上の少額な支出や一時的な支出のために使われる項目です。

  • 銀行の振込手数料、ATM利用手数料(事業用の口座)
  • 各種証明書の発行手数料
  • 事務所のゴミ処理費用(事業ゴミ)
  • 一時的に利用したクラウドファンディングの手数料

雑費は便利な勘定科目ですが、多用は禁物です。
帳簿上で「何に使ったかよくわからないお金」が多くなってしまうためです。

もし「雑費」の金額が年間を通じて大きくなるようであれば、それは他の勘定科目(例:消耗品費、通信費など)に分類できるか、あるいは新しい勘定科目(例:支払手数料)を設定して管理すべきかを見直す必要があります。

税務調査においても、雑費の内訳は確認されやすいポイントの一つです。
日頃から走行距離メーターや訪問記録をつけておき、根拠を明確にしておくことが重要です。

フリーランスのITエンジニアが従業員を雇った場合に経費にできる項目

フリーランス(個人事業主)であっても、事業規模が拡大し、一人では業務を回しきれなくなった場合、従業員(アルバイトやパート含む)を雇用することがあります。
その際にかかる費用も経費となります。

給料賃金

従業員に支払う給与や賞与(ボーナス)のことです。
家族(配偶者や親族)を従業員とする場合は「青色事業専従者給与」という別の扱い(一定の要件を満たせば経費にできる)になりますが、他人を雇用する場合は「給料賃金」として全額経費になります。

なお、従業員を雇用すると、給与計算だけでなく、源泉徴収や社会保険(条件による)、労働保険の手続きなど、事業主としての義務が追加で発生します。

福利厚生費

福利厚生費は、従業員の労働環境を整えたり、慰安のために支出したりする費用です。

福利厚生費の具体例

  • 従業員の健康診断費用
  • 従業員のための食事補助(一定の要件あり)
  • 従業員を対象とした慰安旅行の費用
  • 事務所に設置するウォーターサーバーやコーヒーメーカーの費用

重要なのは、これらが「全従業員を対象」として公平に提供されるものである点です。
事業主(フリーランス本人)だけが受ける健康診断費用や、事業主の家族だけでの旅行費用は、福利厚生費として認められません。

フリーランスのITエンジニアが経費にできないもの

経費計上の目的は節税ですが、だからといって何でも経費にできるわけではありません。
「事業関連性」のない支出は、当然ながら経費として認められません。

重要なのは、「事業に関連しているかどうか」という点です。

個人的な趣味で購入したゲームソフトや、家族との旅行費用は、当然ながら経費として認められません。
たとえ業務で使用する可能性がある機材であっても、主な用途が私的なものであれば経費計上は困難です。
あくまでも、事業を運営し、収益を上げるために使った費用だけが経費となります。

この線引きが曖昧に見える場合もありますが、「これは売上を上げるために必要な支出か?」と自問し、税務署など第三者に対しても合理的に説明できることが判断基準となります。

プライベートで発生した費用

最も基本的なルールですが、事業と関係のない私的な支出は一切、経費にできません。

プライベートで発生した費用の具体例

  • 家族や友人との飲食代、旅行費
  • 趣味(ゲーム、スポーツ、楽器など)のための物品購入費
  • 日常生活で購入する食料品、日用品(トイレットペーパーなど。ただし事務所用は経費可)
  • 事業と関係のない被服費(スーツや私服など。ただし、作業着やロゴ入りユニフォームなどは経費にできる場合もある)
  • 理髪代、美容院代

「これは経費になるかもしれない」と安易に計上すると、将来的に税務調査が入った際に指摘を受け、否認される(経費として認められない)可能性があります。
その場合、追加で税金(過少申告加算税や延滞税など)を納めることになります。

健康診断の費用

フリーランス(個人事業主)本人が受ける健康診断や人間ドックの費用は、経費として認められません。

これは「事業を行うための資本」である事業主本人の健康管理費用であり、事業運営上の直接的な支出とはみなされないためです。
会社員の場合は会社が費用を負担(福利厚生費)してくれますが、個人事業主にはこの概念が適用されません。

ただし、この費用は確定申告の際に「医療費控除」の対象にはなる可能性があります(年間の医療費が一定額を超えた場合)。

税金

前述の「租税公課」で経費になる税金を紹介しましたが、一方で経費に「できない」税金があります。

  • 所得税
  • 住民税
  • 国民健康保険料
  • 国民年金保険料

これらは、事業によって得られた「所得」を基に、個人として納付するものです。
事業運営上の費用ではないため、経費にはなりません。

ただし、「国民健康保険料」と「国民年金保険料」は、経費にはなりませんが、確定申告において「社会保険料控除」として所得から全額差し引くことができます。

その結果、課税所得が下がり、節税につながるという点は同じです。
領収書や控除証明書は必ず保管しておきましょう。

経費の計算方法

ここで、個人事業主の経費の具体的な計算方法をご紹介します。
日々の記帳(帳簿づけ)が重要になります。

まず、事業に関連する支出をしたら、必ず「領収書」または「レシート」を受け取りましょう。
これらが経費の証拠となります。

さらに、受け取った領収書やレシートに基づき、会計ソフトや帳簿で仕分けと記帳を行います。

必要な項目は、以下の通りです。

  • 日付:いつ支払ったか
  • 勘定科目:何の費用か(例:消耗品費、通信費)
  • 金額:いくら支払ったか
  • 摘要:具体的な内容(例:○○電気にてキーボード購入)

家事按分の計算

水道光熱費や地代家賃など、私用と共用している費用については、月末や年末に「事業使用割合」を乗じて、経費計上額を算出します。

例)
電気代 20,000円 × 事業使用割合(30%) = 経費 6,000円

年末に集計する

1年分(1月1日~12月31日)の記帳データを勘定科目ごとに集計し、確定申告書(青色申告決算書など)に転記します。
この合計額が、その年の「経費」総額となります。

手作業での記帳は時間もかかり、ミスも発生しやすいため、クラウド会計ソフトを導入することをおすすめします。
銀行口座やクレジットカードを連携させれば、取引データが自動で取り込まれ、勘定科目の仕分けもAIが補助してくれます。
これにより、経費計算にかかる工数を大幅に削減できます。

フリーランスのITエンジニアが経費計上する際の注意点

経費を適切に計上し、税務署からの指摘を避けるためには、以下の点に注意する必要があります。

領収書やレシートを保管しておく

経費計上の大原則は、「その支出が事業のために行われたことを証明できる」ことです。

その最も基本的な証拠が「領収書」や「レシート」です。

領収書またはレシートには、

  • 宛名(屋号や氏名)
  • 日付
  • 金額
  • 支払先
  • 但し書き(何を購入したか)

が記載されていることが理想です。

レシートは感熱紙で印字が消えやすいため、スキャンして電子データで保存するか、ノートに貼り付けて保管するなどの対策が必要です。

収益は帳簿に記帳する

経費だけでなく、当然ながら「収益(売上)」も正確に帳簿に記帳する必要があります。
クライアントから発行された「支払調書」と、自身の帳簿上の売上金額が一致しているかどうかも確認されます。

売上(入金)が漏れていると、意図的でなくても「所得隠し」とみなされ、重いペナルティ(重加算税など)が課されるリスクがあります。

領収書や帳簿は、7年間の保存義務がある

確定申告が終わったからといって、領収書や作成した帳簿(仕訳帳、総勘定元帳など)を捨ててはいけません。

税法上、これらの書類は原則として「7年間」(青色申告の場合)の保存が義務付けられています。(白色申告の場合は5年または7年)

これは、税務調査が過去数年分にさかのぼって行われる可能性があるためです。
もし調査の際にこれらの証拠書類を提示できなければ、経費として認められず、追徴課税となる可能性があります。

ITエンジニアがフリーランスで経費にできる項目に関するQ&A

最後に、フリーランスエンジニアが経費計上で迷いがちな点について、Q&A形式で回答します。

Q1.開業前の支出でも経費にできますか?

A1.回答:経費にできます。

開業届を出す前に支出した費用(例:独立準備のために購入したPC、名刺作成代、打ち合わせの交通費など)も、「開業費」という勘定科目を使って経費(繰延資産として任意償却)にすることが可能です。

開業準備にかかった領収書やレシートも、捨てずに必ず保管しておきましょう。

Q2.領収書やレシートを紛失した場合は、経費にできませんか?

A2.諦める必要はありませんが、対策が必要です。

原則として領収書は必要ですが、万が一、紛失したり、もらい忘れたりした場合(例:電車代、バス代、自動販売機での飲料購入(会議用)など)は、「出金伝票」を作成します。

出金伝票に、日付、支払先、金額、目的を詳細に記録することで、領収書の代わりとして経費計上の根拠とすることができます。

また、クレジットカードの利用明細や銀行の振込履歴も、領収書に準ずる証拠として認められるケースが多いでしょう。

Q3.経費計上できる金額に上限はありますか?

A3.項目自体に上限はありませんが、「売上に対して妥当な金額か」が問われます。

たとえば、接待交際費が年間500万円あったとしても、売上が1億円あれば妥当と判断されるかもしれません。

しかし、売上が800万円なのに接待交際費が500万円というのは、事業関連性が疑われます。

経費は「事業を行うために必要な費用」です。
売上規模や業務内容とかけ離れた過度な経費計上は、税務調査で否認されるリスクが非常に高くなります。

まとめ

フリーランスのITエンジニアが経費として計上できる項目は多岐にわたります。

特にエンジニア業務では、PCやソフトウェア、クラウドサービス、技術書の購入など、専門性の高い支出が多く発生します。

これらを適切に経費として計上することが、手元資金を確保し、事業を安定させる鍵となります。

重要なのは、自宅兼事務所の家賃や光熱費などを「家事按分」するという考え方、そして10万円以上の資産は「減価償却」するというルール(ただし青色申告の30万円未満の特例あり)を理解することです。

そして、全ての経費は「領収書」や「レシート」といった証拠に基づいて計上し、それらの書類と帳簿を7年間保存する義務があります。

日々の記帳作業は負担に感じられるかもしれませんが、クラウド会計ソフトなどを活用し、効率的に処理していくことが、経験豊富なエンジニアが本業に集中し続けるために不可欠です。



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